提案、実装、プロセス変革までを一気通貫で支援できるのが強み

DX&イノベーションセンターデータテクノロジ＆コンサルティング部長／瀧本秀典

──はじめに、昨今のデータ活用領域を取り巻く状況について教えてください。
昨今さまざまな企業がDX推進に注力するなか、その一翼を担うものとして、「データ活用」のニーズが非常に高まっています。激しく変化する社会や価値観に対応し、より変化に強いビジネスを作っていくために、データ活用は不可避といっても過言ではないでしょう。

多様化するデータ活用ニーズに対応するための技術進歩も目覚ましく、お客様の課題に対して、より具体的なアプローチで応えられるようになってきています。少し前まではPoC（概念実証）と呼ばれる試行段階にとどまっていたプロジェクトが、実利用、さらに拡大の段階に入るようになったのは大きなトピックですね。

特に、当社の流通・サービス事業本部が担当するインターネット系企業やプラットフォーマー、流通業などのデータ活用に対するモチベーションが高い企業においては、さらに熱量が高まっており、まさに拡大の段階にあると感じます。

また、ビジネスの型がかっちりと決まっている製造業などにおいても、個別部門の業務効率化にとどまらず、データの活用によって部門を越えた形で業務を変えたいというような機運が高まっているのも特徴的です。当社でも「PLANETARY」というブランドを立ち上げ、データ活用を含む製造業のお客様のデジタル化の実現に取り組んでいます。

──そうしたなかで貴社が、データ活用領域において果たしている役割は何でしょうか。
お客様がデジタル変革を成し遂げるうえで、データ活用は重要な要素の一つですが、一言に「課題」といってもその種類やフェーズは千差万別です。「課題を解決すると次の課題が見えてくる」というように、高度で複雑な案件も多々あります。お客様の変革に寄り添う「ファーストDXパートナー」として、ここでわれわれが果たすべき役割は、継続的にお客様の課題解決に向き合い、データ活用の高度化や規模拡大に向けたプロセスをリード・伴走することだと考えています。

もともと当社では、「ビッグデータ」「AI」といった言葉が社会に浸透する以前からデータ活用に取り組み、データウエアハウス（DWH）の構築・運用やビジネスインテリジェンス（BI）に代表されるデータ分析を行ってきた経緯があります。当社のR&D部門であるシステム研究開発センターでも、1980年代の「第2次AIブーム」の頃からAIについて研究を行い、その知見を日本製鉄の操業に活かしてきました。このように、一朝一夕では獲得しえないノウハウを有していることも、当領域で存在感を発揮するうえでは大きな強みでしょう。

加えて、実際にデータ活用を行っていくためには、お客様のビジネスへの深い理解が欠かせません。当社のお客様の8割は日本製鉄グループ外の企業であり、多様な業種・業態に深く関わり対応してきた実績があります。また、課題に対してデータを用いてどう解くかを見抜いたうえでソリューションを導き出し、実際のデータ分析活動やシステム基盤を整備し、運用と改善まで一気通貫で支援する。このようにすべてのプロセスに携われるのも、当社ならではの価値だと自負しています。

データを最大限に生かし、組織や業務プロセス変革もセットで提供

──所属されているDX&イノベーションセンター（DXIC）の、データテクノロジ＆コンサルティング部の事業内容を教えてください。
まずDXICは、当社内でDXに関するセンター･オブ･エクセレンス（CoE）の役割を担うとともに、事業ドメインを横断して全社的な活動を行う組織です。お客様のDX実現のために必要なビジネスや組織変革等の骨組みを考え、事業部門と共に実装していきます。

そのなかでデータテクノロジ＆コンサルティング部は、データ活用全体の企画と実行、業種横断での全社ノウハウの蓄積、ソリューション企画、人材育成などを行います。特徴的なのは、機械学習、AI、データ分析などの活動だけでなく、データ活用を促進するためにデータをどのように集め、管理するかといった活動まで含め、データ活用のサイクル全体をカバーする組織体制となっている点です。

──データテクノロジ＆コンサルティング部を象徴するようなプロジェクト例には、どのようなものがありますか。
あるお客様で、統合データ活用基盤を構築するに際し、当部門が上流フェーズの基本構想や要件定義をリードしたプロジェクトがあります。単にITコンサルティングとしてシステムについて提案するだけでなく、業務としてデータ活用を推進・定着していくうえでの組織のあり方や業務プロセスの変革まで踏み込んで提案を行った点が、価値提供につながったと考えています。

また、社員教育やデータ分析によるアドバイザリー活動などの側面からも支援し、部分的ではない細やかな対応ができました。お客様の「ファーストDXパートナー」を目指す当社として、この案件をモデルケースに、今後もこうしたトータル支援を広く展開していく考えです。

新商品の需要予測など、ニーズの高い分野で価値を提供

流通・サービスソリューション事業本部 DXビジネス・イノベーションセンター所長／呉正大

──所長を務めるDXビジネス・イノベーションセンター（DIC）の概要と事業内容を教えてください。
当社のなかで、インターネット・旅行・小売り・ヘルスケアを担当するのが流通・サービスソリューション事業本部です。支援するお客様には、Web系のプラットフォーマーやEC、流通・マーチャンダイズなど、データ活用に積極的かつ先進的な姿勢の企業が多く、まさにデータ活用ビジネスの最前線といえるでしょう。

その役割としては大きく３つあり、1つ目がデータサイエンティストやデータアナリストなどのDX人材・技術者を集め、流通・サービスソリューション事業本部の各プロジェクトにアサインすること。2つ目が、データを使った新しいソリューション企画の実施。3つ目が、社内でデータ活用ができる人材の育成です。人材育成では、当社のCoEであるDXICと連携して、実地学習する機会の提供などを行っています。

こうした活動は、以前から当事業本部内で行われてきましたが、2022年度に改めてDICとしてセンター化されました。データ領域に対する期待の表れであると同時に責任の重さもあり、メンバーの意識も高まっています。

──これまでに呉さんが担当されてきたプロジェクトで、先進的な事例があれば教えてください。
ある大手化粧品メーカーで、新商品の需要予測システムをAIで構築しました。発売前から需要予測を行うことで生産数や生産ラインの確保などができるため、重要な役割を担う一方、もともとは人力で「Excel」やBIツールなどを駆使して分析を行っていたため、予測にバラつきがあり、属人化しているという課題がありました。そこで、専門知識を用いずに機械学習を自動化する「DataRobot」というプラットフォームを使い、予測モデル構築やモデルの業務適用に取り組んだのです。

新商品の需要予測で難しいのは、発売前なので販売実績のデータがないことです。それに加え、この案件で扱った化粧品は、生産から販売までのリードタイムが約半年程度と長かったことも予測の難度を上げる要因でした。そのためお客様と日々モデル改善のアイデアを出し合い、試行錯誤することでモデルの精度向上に努め、現在は実業務に適用させながら、さらなる改善を進めています。

そのほかにも、旅行商品の販売サイトにおける価格最適化や、小売業での自動発注・出庫システムの開発、ネット決済における審査工程にAIを組み込んだ自動化など、多種多様な案件でデータを用いた支援を行っています。

チームに貢献しつつ、技術を磨いて個人としても成長する

──貴社でデータ活用に携わる面白さ、醍醐味は何でしょうか。
データ活用では、ビジネス、テクノロジー、サイエンス、それぞれの専門家がタッグを組むことが必要不可欠です。お客様のカウンターパートである事業部門が課題をしっかりと明確化し、データを扱える経験豊かなエンジニアが技術で応え、R&D部門が最新の知見を提供するという連携が自社で完結できるのは、日鉄ソリューションズならではの価値ですね。この3つの要素を担うチームが一丸となるからこそ、先進的で世の中にインパクトを与えるようなプロジェクトでしっかりと成果を出せるのだと自負しています。

分析モデルの予測精度を100％にするのは不可能かつ、事業環境の変化によりモデル精度も変わってしまうため、結果を考察しながらチューニングし、精度向上を目指していくのが現状です。

一方で、テクノロジーの進化によってできることが増えているのも事実です。今の技術でできることを組み合わせながら、新たな価値創造に取り組めるのは、データ活用の醍醐味でしょう。SIerという立場でありながらも、信頼関係を築いて、お客様と同じ目線で取り組めることも面白い点だと思います。

──DICには、どのような方がマッチするでしょうか。
お客様と議論を重ねるなかでテーマを導き出す、モデルを組み立て、設計・開発・運用を行うなど、狭義の「データサイエンティスト」や「データアナリスト」の概念にとらわれない志向を持った方がマッチすると考えています。

実際、自主性・主体性を持って物事に取り組める人が当センターでは活躍している印象です。データに関するスキルは後からキャッチアップできるので、まずは当事者意識を持って積極的にプロジェクトに関わろうとするマインドを大切にしたいです。

仕事の性質上、一般的なシステムエンジニアよりも独り立ちするまでに時間がかかることを前提としていますので、焦らず、できることを着実に増やす支援もしています。

──最後に、この記事を読んでいる方に向けてメッセージをお願いします。
DICは、2015年に1テーマの推進担当として前身を立ち上げ、そこから徐々に拡大してきた組織です。立ち上げ当初、事業の将来性にかけて、「数年は利益が出なくてもいいから」と組織の運営を一任してもらえたことが非常に印象に残っています。日鉄ソリューションズは、挑戦しようとする意欲を歓迎し、背中を押してくれる懐の深い会社です。「柔軟な発想で主体的にプロジェクトに関わりたい」という方は、伸び伸びとご活躍いただけるでしょう。

私自身も、より複雑性の高い案件などにどんどんチャレンジしていきたいと考えています。DICには、強い個性と専門性を兼ね備えたメンバーがそろっているので、チームに貢献しながらも「個」としてこだわりを持ち、力を発揮したいという方からのご応募をお待ちしております。

※出典：ビズリーチ公募ページ「日鉄ソリューションズ株式会社」（2022年11月17日公開）より転載
※NSSOL、NS Solutions、NS（ロゴ）、PLANETARYは日鉄ソリューションズ株式会社の登録商標です。
※その他本文記載の会社名および製品名は、それぞれ各社の商標又は登録商標です。

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